2009年09月07日

適格退職年金が廃止される! 1

前回、書いた適格退職年金制度。
日本経済が、いい調子で行っていた頃にはすごくいい制度だったようです。

しかし、5.5%という運用が見込めなくなるくらい、バブル崩壊で日本経済が落ち込んできました。

となると・・・
①もう5.5%という運用は難しい。
②しかし、従業員に支払う退職金は退職金規程で決まっている
③退職金額を下げようとすれば、従業員の個々の同意が必要だ。
④そんなことは難しい(同意するはずがない)
⑤となれば、退職金額は下げられないなら、掛金を増やすしかない

となって、5.5%から1%の運用になるが、退職金額を容易に下げられないので、掛金を増やすことになったのです。
(退職金の減額は、従業員にとって不利益変更になるので、従業員の個々の同意が必要なのです)
同じ退職金額をキープするのなら、運用を上げるか、掛金を増やすしかないのです。

90年代後半からほとんどの会社はこのように考えました。
「今の不景気も長くは続かない。とりあえず運用益が下がるのであれば、掛金負担アップもやむを得ない」って。

これが間違い・・・

長引く不況で、掛金アップは、会社の経営体力をジワジワと奪っていったのです。


国として、この制度廃止の理由はこのような感じでした。

○適格退職年金制度は、従業員が年金をもらう権利(受給権)の保護に欠陥がある。

●財政の健全性を維持する仕組みがない・・・積立不足が拡大しても、再計算時(通常5年ごと)まで放置されている。

●情報開示が足りない・・・適格退職年金制度の財政状況などを、加入者である従業員が知らない。

●解約条件が甘い・・・従業員の同意なしで解約できる。また年金資産のみを分配すればよく、積立不足があっても埋める必要がない。

だから「従業員の受給権保護」を強化する目的で、確定給付企業年金(DB:規約型・基金型)が創設されました。


です。

つまり、適格退職年金制度は会社と幹事会社である生命保険会社などとの契約なので、従業員はよくわからない。
だから、今回のように運用が悪くなってきて会社が従業員に払う退職金額に達していない(積立不足)状態であっても、従業員は基本的にどうすることもできないのです。

将来の老後の計画が大きく狂いますよね、退職金がどうなるかわからないのでは・・・
だから、きちんと受給権保護をする確定給付企業年金(DB)ができたのです。


そして、適格退職年金制度は、2012年3月31日までに廃止することが決まったのです。
(つまり「10年間、猶予期間を設けるから、会社はなんとかしてね」ってことです)

さて、2012年まで後、2年半を切りました。
会社は、なんとかできているんでしょうか?

つづく




Posted by たまちゃん at 08:54│Comments(0)
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