2009年09月25日

中退共 2

昨日に引き続き、今日も中小企業退職金共済(中退共)です。

中小企業退職金共済(中退共)は、国の制度だと書きました。
掛金が全額損金計上できたり、国の助成があったり、いい制度のようです。

今回、適格退職年金(適年)制度の移行先としても、中小企業退職金共済(中退共)は多いです。
適年の年金資産は、全額中退共へ持ち込むことができます。
また適年に積立不足があっても移行可能なのです。

いったん積立不足を解消しなくてはいけない他の制度に比べて、ここでも有利です。

問題点はないのでしょうか?
まず一つ目。
●適格退職年金(適年)からの移行の場合には、国の助成を受けることはできません。
●すでに中小企業退職金共済(中退共)を実施している場合は、移行できません。


続いて、中小企業退職金共済(中退共)の資産運用はどうなっているのでしょうか。
共済機構が一括運用しています。
一時、積立不足が151億円ということもあったそうです。

現在の利回りは1%
適年と同じく、利回りは下がってきました。
1%の運用であれば、確定給付企業年金(DB)の方が組み合わせによれば、上かもしれません。


もうひとつ問題点があります。
中小企業退職金共済(中退共)は、従業員が自己都合で退職しても、会社都合で退職しても給付は変わりません。
懲戒解雇の時のみ、減額可能です。

例えば、いきなり「会社を辞めます」っていうわがままな従業員さんであっても、中退共からは全額支払われます。
会社にしてみれば、引き継ぎもしない人なのに減額することはできません。
つまり、会社の自由に退職金額を変更できないのです。

懲戒解雇であっても、最低でも3割ぐらいは支払われるそうです。
ほんとは退職金がゼロでもおかしくないと会社が思っても、いくらかは退職金が支払われるのです。

このあたりも、中退共の問題と言えると思います。


しかし、現実に50名未満の企業では、ほとんど適年からの移行は中退共に行っているみたいです。
節税対策ということで税理士さんが勧めるケースもあるだろうし、経営者にとって比較的わかりやすい制度というのもあります。
「確定給付企業年金(DB)や確定拠出年金(DC)もあるけど、よくわからないし・・・」
ということで、安易に中退共を選んでいることもあるでしょう。


しかし、会社が退職金制度をどのようにしたいのか。
会社の労務管理上、退職金制度がどうあるべきなのかを考えた上で選択しないといけないと思います。


最後に、
中小企業退職金共済(中退共)は国の制度。
とはいえ、昨今の公的機関の廃止・天下りの禁止の流れからするといつまで存続するのか、という気もします。

積立不足も気になります。


「国の制度だから安心だ」と言えますか?


他の選択肢も吟味したうえで考えていきませんか?






Posted by たまちゃん at 11:22│Comments(0)
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